アスペクト最終段階
今朝のモデルだと、bad-,lof-は説明できてもskan-、na-は説明できない。
一歩歩くとか一回殴るというのを何度もやれば累積になる。
一方、座るの類型は何度も座るという意味だ。腰を下ろしては立ってを繰り返す。これがskin-の累積だ。少なくともあの図から考えればそうなる。だが、こんな動作誰もしない。
だからあのモデルでは不十分だ。座るは単位と累積では説明できない。
しゅわるつさんの言っている2つの「座った」は、1つがケツがついたという行為としてのskin-ekだ。
そして1つが座り終えて立つ寸前という意味のskin-ekだ。これは座っている状態が終了したと言い換えられる。だから、状態動詞の完了相なのだ。
そう、つまりケツがついたのは行為動詞としての「座る」の完了相で、立ち上がる寸前は状態動詞としての「座る」の完了相なのだ。
現状、アルカで状態動詞は-rで表し、-rはアスペクトを持たない。
「状態は行為でないので局面がない」という理屈に基づき、-rはアスペクトがない。これが先月くらいの結論だった。
だが、上の例を考えると、状態動詞にも完了相を想定しないと説明できない。
従って、状態動詞にもアスペクトが発見された。
ここから、状態動詞もptsknがあるということが想像される。
だが、そのままptsknだと行為動詞のアスペクトのptsknと区別が付かない。
そこで、行為動詞を無標にし、状態動詞をrにしよう。ちなみに卵か鶏かでいえば、行為が先だ。例えば「好きだ」という状態は「好む」という行為の結果起こったものだからだ。
さて、状態動詞のアスペクトはrを挟む有標なものにすると、状態動詞のアスペクトはそれぞれ-rp, -rt, -rs, -rk, -rnというrを加えた形になる。
日本語の場合、状態を指すには「テイル」をくっつけるのが主だ。teiruと比べれば-r-は短い。
こうすると、「座った」の2つの完了を区別できる。
skin-ekはケツがついた段階。
skin-erkは座った状態の完了、つまり立つ寸前。
うん、これでスッキリした。
一方、bad-e,lof-eは昨日と同じ。歩くは単位となる動作の繰り返しなので、単位と累積で説明できる。
1発殴る途中の手を出してる段階がbad-es enkで、フルボッコ中なのがbad-es onk。
さて、na-eとかtial-eについて考えよう。
愛するは行為としての「好きになる」と、状態としての「好きだ、愛してる」というのがある。
前者はtial-eでいいし、後者はtial-erで表せる。
はい、ここで問題。tial-eとtial-erでは、意味の上で後者の方が頻度が高い。なのに後者の方が語形が長くていいの?
うん、確かにそれで「心理動詞は状態動詞をデフォにし、tial-eでtial-erを示せる」などとすれば楽にはなるよね。
でもそうするといざ本当に行為動詞を表したいときに何かしら副詞を付けなくてはならないのが欠点だ。
そして、心理動詞は状態がデフォ、姿勢動詞は行為がデフォ……などと型ごとに覚えるのはちょっとめんどい。
しかも、いくら長いといっても所詮子音1つ。さらにrは母音の後だと母音に融合するので、存在も軽い。だから長いとは思えない。
また、きっちりrをつけるべきところでつけると、アスペクトの体系が非常に論理的に示せる。これもいい。
というわけで心理動詞であっても-r-をきちんとつけるようにしました。
弊害は、既に書いた文書の、心理動詞とかに一々rをつけないといけない点。
なお、法時相詞にもrがつく。
skin-axの状態動詞はskin-arx。
命令はskin-arl。実際の発音は同化してskin-arr。
・まとめ
san-ek la 好きになった
san-erk la もう嫌じゃ。愛想つかした
in-ek 視界に入った
in-erk 見終わって視界からもう外す。テレビを見終わったときなど。
ku-es 言葉を喋っている
ku-ek セリフが終わった
ku-er ???恐らく使わない。喋った状況が残っている場合
tid-ek 手で持ち上げた瞬間
tid-erk もう放す
tid-er 持っている
tid-es は「持っている」じゃないよ。「持とうとしている」
skin-ek ケツが付いた
skin-erk もう立ち上がるところ
skin-er 座ってる状態
skin-es は「座ってる」じゃないよ。座ろうとしてるところ、空気椅子中w
miks-ek 1曲終わった
miks-es 歌ってるところ
miks-er 歌った残響でも残っているのか?使わない。
esk-es 雨が降っている
esk-ek 雨がやんだ
esk-er 雨の降った状態が地面から分かる
esk-erk 地面が乾いて雨が降っていたことさえ忘れ去られる。使わないと思う。
bed-es enk 手を伸ばしている
bad-es onk フルボッコ中
bed-ers 殴った状態の過程って意味不明。殴ったのがスポンジで、スポンジが殴られたあと一旦凹んで元に戻るときの過程を表すときくらい。
lof-es enk 脚上げ中
lof-es onk 散歩中
lof-ers 歩いた状態の過程?ぬかるんだ地面に作った足跡が徐々に消えていくさまとか?
従って、「行為動詞か状態動詞か」「単位動詞か累積動詞か」この2点で測ることになりました。
わりと盛りだくさんなわりに、使用者としては「状態ならrを入れる」「単位ならenkをつける(任意)」「累積ならonkをつける(任意)」の3点だけ注意すればOKです。
また、後者2つは任意なので、基本的に使用者は心理動詞などに-rを入れとけば安全でございます。
……なんかケータイのサービス会社がバージョンアップに際して前のバージョンとの対応を気にするような感じだな……orz
・厄介と思われる変更点
san-e,na-e,xa-eなど→rがつく。
<助け舟>
xa-erが面倒なら繋辞でいいです。an it koa!みたいに。
また、「好む」も「好きだ」も言ってることは実質同じなので、san-eでsan-erを代用してもいいです。
そうすればユーザー側に変化なし。
・次の課題
もしすべての動詞がこれで説明できなかった場合、またモデルを修正する必要があります。
何か漏れがないかチェック中です。指摘歓迎です。
ただ、もういい加減アスペクトは固定だと思います。
今回、「あまり表さなくてもいいのは任意にする」「表さなきゃいけないのは最短方法で示す」「利用者の視点でいけば、あまり文法を考えなくても正しい文法になる方がいい」「今までのものをあまり変えないでいきたい」というのを満たすやり方でいきました。
「行為動詞か状態動詞か」「単位動詞か累積動詞か」を常に表し、しかも規則的に毎回副詞などで表すと、冗長になります。
今回の改訂は手軽でバランスが取れていて、それでいて網羅的なように作りました。
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コメント
> 座るは単位と累積では説明できない。
云われてみれば確かにそうですね。記事『単位動詞と累積動詞で悩む』のコメント欄において
> 上掲の例でよろしいでしょうか
>> 全くその通りです。
と返答申し上げましたがすみません、全然『その通り』じゃなかったようです(笑) しかし、コメントを発した当の私が気付いていなかった違いをセレンさんが汲み取った上で、それがアルカに少なからぬ影響を与える結果になろうとは…… (゚д゚ ) ビックリ
ところで今回の改定で、「行為・単位動詞」「行為・累積動詞」「状態・単位動詞」「状態・累積動詞」という4種類の組み合わせが理論上ありえる事になったわけですが、状態動詞の単位・累積を区別する場面というのは実用上出て来るのでしょうか? 無ければ enk,onk を付けなければいいだけですの事ですのでアルカにとっては別にどちらでも構わない話しではあるのですが、現在考察中のアスガル語アスペクト体系にとっては重要な鍵となり得る部分なのです。アルカと直接関係の無い疑問で恐縮ではありますが、ご指南いただければ幸いです。どうか宜しくお願い致します。<(_ _)>
投稿 しゅわるつ。 | 2007年12月20日 (木) 18時25分
skin-arx 座っていましょう
skin-arl 座っていてください
は、流石にないと思う。
形態素分析をすると、-axは、aだけでもxだけでも意味を成さず、axと繋がることで意味が発生するので。
接中辞は、ウィキでやろうとするとき、[[-a>-ax]][[r>-er]][[x>-ax]]みたいになるので、面倒です。
せめて今までも法-時制-否定-(状態)-相の法則に基づいて、
skin-axer, skin-alerにした方がいいと思います。
これなら、[[-ax]][[er]]でリンクが効きますし。
xa-er, na-er.
意外と普及しない気がする。どう見ても状態動詞というのは付けないのがデフォになると思います。
an xa-e ka koaのkaとか、an kot-a al koi のalとかも、あまりにも「を」があることがありえないので、on格で代用可能なのと同じように、an san-er tiやtu xa-ir koaのrも省かれる傾向になると思います。
投稿 Kakis Erl Sax | 2007年12月21日 (金) 22時18分
あと、an it koaという英語で言うI am hereみたいな用法も、微妙かと。
an it Gandamといったら、「私はガンダムです」といっているようなもので、an xa-i Gandam「私はガンダムのところにいる」と受け取ってくれるかどうかはかなり微妙です。
あえて、やるとすればan et dea Gandam見たいな叙述副詞を使う方法もありますが、「俺、ガンダムで頼むわ」みたいな解釈をされかねなかったり、やっぱりxaを使うしかないかも。
だから他の動詞と同様に、an it xa ka Gandamになるようですが、それだったら、xa-iを普通に使ったほうが早いような気もしますし。
投稿 Kakis Erl Sax | 2007年12月21日 (金) 22時26分
投稿: Kakis Erl Sax | 2007年12月23日 (日) 22時27分